ニュース

NEWS

2026年労働基準法改正の動向と企業が準備すべきポイント

2025.12.26

働き方改革の進展、テレワークの普及、副業・兼業の広がり——企業を取り巻く労務環境は、ここ数年で大きく変化しています。こうした変化を背景に、労働基準法についても約40年ぶりとなる抜本的な見直しが議論されていることをご存じでしょうか。

※重要
2025年12月時点で、労働基準法の改正はまだ成立しておらず、国会提出も見送られています。本コラムで紹介する内容は、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」が公表した報告書に基づく検討段階の情報です。今後変更される可能性がありますので、最新情報は厚生労働省の公式発表をご確認ください。

なぜ今、労働基準法が見直されるのか

労働基準法は1987年に大規模な改正が行われて以降、部分的な修正は重ねられてきましたが、制度の根幹に関わる見直しは長年行われていませんでした。

しかし、現在の労働環境は当時とは大きく異なります。以下のような社会変化が、法改正の議論を後押ししています。

  • 深刻化する人手不足と長時間労働の常態化
  • テレワーク・副業・フリーランスなど多様な働き方の拡大
  • デジタル技術の進化により、時間や場所に縛られない働き方が可能に
  • 過労死やメンタルヘルス問題への社会的関心の高まり

こうした実態に対し、従来の法制度では対応しきれない場面が増えてきたことから、法律そのものを見直す必要性が指摘され、有識者による検討が進められてきました。

検討されている主な改正項目

研究会報告書で示されている、企業に影響を及ぼす可能性のある主な論点を整理します。

1. 連続勤務日数の上限設定

現行制度では「4週4休」の特例により、理論上は長期間の連続勤務が可能です。これに対し、14日以上の連続勤務を認めない方向での見直しが検討されています。長期連勤が従業員の健康リスクを高めるという指摘が背景にあります。

2. 法定休日の事前特定義務

現在、「週1日以上の休日付与」は義務ですが、どの曜日を法定休日とするかを明示する義務はありません。今後は法定休日を事前に特定することが求められる可能性があり、割増賃金計算の透明化や労使トラブルの防止が期待されています。

3. 勤務間インターバル制度の義務化

終業から次の始業まで一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」は、現在は努力義務です。これを原則11時間のインターバル確保として義務化する案が議論されています。

4. 有給休暇取得時の賃金算定方法の統一

年次有給休暇中の賃金について、通常賃金方式を原則とする方向が示されています。日給制・時給制で働く従業員が不利にならないよう配慮した制度設計が意図されています。

5. 「つながらない権利」に関するガイドライン

勤務時間外の連絡対応をどう扱うかについて、労使でルールを整理するためのガイドライン策定が検討されています。現時点では、直ちに法的義務を課すものではなく、社内ルール作りを促す位置づけです。

6. 副業・兼業時の割増賃金計算ルールの見直し

健康管理のための労働時間通算は維持しつつ、割増賃金の算定については通算しない方向が検討されています。企業の実務負担を軽減することが狙いです。

7. 週44時間特例措置の廃止

一部の小規模事業場で認められている「週44時間」の特例について、利用実態が少ないことから廃止する方向が示されています。

企業が今から準備すべき実務ポイント

改正内容が最終決定していない現段階でも、以下のような点は今後の制度整備において重要になると考えられます。

  • 労働時間・休日・連勤状況の正確な把握ができているか
  • 法定休日と所定休日の区別が明確になっているか
  • 管理職を含めた勤務実態の客観的な記録ができているか
  • 勤務時間外の連絡ルールが暗黙知になっていないか
  • 勤怠・給与計算システムが制度変更に柔軟に対応できるか

特に、シフト制や交代勤務を採用している企業では、休日設計や勤務間インターバルの確保が今後の重要な課題となる可能性があります。早めの準備が求められるでしょう。

まとめ:法改正を働き方改善の機会に

労働基準法の見直しは、確かに企業にとって対応コストや実務負荷が生じる側面があります。しかし同時に、働き方の実態を見直し、従業員が安心して働ける環境を整える好機でもあります。

制度対応を「後追い」で行うのではなく、次のような視点で準備を進めることが重要です。

  • 自社はどのような働き方を大切にしたいのか
  • 人材の定着や生産性向上につながる運用とは何か

こうした視点で段階的に準備を進めることが、結果的にリスク低減と従業員との信頼構築につながります。

今後も法改正の動向を注視しつつ、自社に合った働き方の整備を進めていきましょう。

Archive