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年間休日105日は少ない?120日は多い?求職者が感じる「休みの基準」は企業と少し違います。

2026.08.20

採用担当者の間でよくある感覚として、「年間休日110日もあれば十分だろう」というものがあります。しかし求職者側の感覚は、必ずしもそうではありません。統計データと求職者調査を突き合わせてみると、企業の「普通」と求職者の「普通」には、想像以上のズレが存在することが見えてきます。

1. 「年間休日110日で十分」は本当か?企業と求職者のズレ

求人票を作るとき、「うちの年間休日は110日前後だから、業界的にも標準的なはず」と考える企業は少なくありません。実際、統計上もその感覚は間違っていません。しかし、求職者が求人を見るときの「基準」は、企業が思っているよりも高い位置に設定されていることが、複数の調査から明らかになっています。

この記事では、公的データと求職者アンケートをもとに、「企業側の普通」と「求職者側の普通」がどれくらい離れているのか、そしてその差を採用活動でどう埋めていけばよいのかを整理します。

2. 統計で見る「平均」年間休日 ― 116.6日の実態

厚生労働省の「令和7(2025)年 就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年間休日総数は116.6日、1企業平均では112.4日となっています。つまり統計上は、年間休日が110日台の企業であっても、決して珍しい水準ではありません。

ここで注意したいのは、「116.6日はあくまで統計上の平均であって、求職者が満足する基準ではない」という点です。平均値に収まっているからといって、求職者から見て「休みが多い会社」だと感じてもらえるとは限りません。

3. 求職者の本音 ― 75%以上が「115日以上」を希望している

ハローワーク新潟が実施した求職者アンケート「雇用管理改善の具体的ニーズ」では、「働き方改革を進めている企業」を希望するフルタイム求職者に対し、「現実的に望ましい年間休日数」を尋ねています。その結果は次の通りです。

【求職者が望む年間休日数】
120日程度:45.4%
115日程度:29.9%
合計で75%以上が「115日以上」を希望

さらに20代の求職者では、他の年代以上に「120日程度」を選ぶ傾向が見られます。これを裏付けるように、ジェイックが実施した20代求職者126名の調査でも、給与以外で「志望度が上がる条件」として、完全週休2日制が57.9%で1位、年間休日120日以上が45.2%で2位でした。参考までに「残業月10時間以内」は12.7%であり、若手層にとって休日数の影響がいかに大きいかがわかります。

2026年8月に公表された同社の最新調査でも、20代が企業選びで重視する条件として「年間休日の多さや残業の少なさなど、ワークライフバランスが整っている」が43.9%となり、「安定した収入」に次ぐ2位に挙げられています。休日数は、もはや「あれば嬉しい条件」ではなく、企業選びの主要な判断軸のひとつになりつつあります。

4. 「休日が少ない」は魅力を弱めるのではなく、応募自体を止める

ここが採用担当者にとって最も見落としやすいポイントです。マイナビキャリアリサーチLabの「転職動向調査2025年版」によると、求人への応募をためらう理由は次の順になっています。

【応募をためらう理由(上位)】
1位:給与が低い 48.7%
2位:休日が少ない 38.9%
3位:福利厚生が少ない 29.9%

「休日が少ない」は、給与に次いで2位という高い順位にあります。特に技能工・建築・土木系の職種では、この割合が47.6%まで上昇します。つまり建設系をはじめとする一部業種では、休日数は「あるとうれしい福利厚生」ではなく、応募する・しないを分ける条件そのものになっているのです。

これは、給与や仕事内容にどれだけ自信があっても、「年間休日105日」という数字を見た瞬間に「休みが少なそう」と判断され、求人の中身を読まれる前に離脱されてしまう可能性があることを意味します。エン・ジャパンの調査でも、仕事選びの軸として「希望の条件(勤務時間・休日休暇など)があるか」を挙げた人は全体で54%、女性では64%と最多になっており、子どもとの時間や冠婚葬祭、プライベートとの両立といった理由が背景にあります。

5. なぜ「120日」が心理的な基準になるのか

完全週休2日で土日を休むだけでも、年間の休日はおおむね104日前後になります。そこに祝日、年末年始、夏季休暇などが加わることで、休日数はおおよそ120日前後まで積み上がります。そのため求職者にとって、「年間休日120日」は自然と「土日祝はだいたい休める会社」というイメージに結びつきやすくなります。

一方で年間休日が105日前後だと、「土曜日に出る週があるのでは」「祝日は出勤なのでは」といった想像が働きます。求職者は求人票を見るとき、厳密にカレンダーを計算しているわけではなく、数字を見た瞬間の印象で判断していることがほとんどです。そのため、119日と120日は実質的にはわずか1日の差でも、求人としての見え方には1日以上の差が生まれる可能性があります。

ただし、大切なのは日数だけではありません。ハローワーク新潟の調査でも、働きやすい会社の条件として「急な休みを気兼ねなく取れる」「就業時間が生活と両立できる」「土日祝が毎週休み」「有給休暇を取得しやすい」といった項目が挙げられています。つまり求職者にとっての「休みが多い会社」とは、年間休日数だけでなく、休む曜日、有給の取りやすさ、急な休みへの対応まで含めた総合的な感覚だと言えます。

6. まとめ ― 大切なのは「休日数」ではなく「休日の生活」を見せること

ここまで見てきたデータをまとめると、次のような流れが浮かび上がります。

  • 厚労省の統計上の平均年間休日は116.6日
  • しかし求職者の75%以上は「115日以上」を希望
  • 20代では「120日」が一つの心理的な基準になっている
  • 休日が少ないというだけで、約4割が応募をためらう

だからといって、「年間休日が少ない企業は採用できない」という結論にする必要はありません。重要なのは、休日数という数字だけを見せるのではなく、その裏にある「休日の生活」まで具体的に見せることです。

たとえば年間休日110日の企業であっても、「毎週日曜+土曜は月◯回休み」「GW◯日」「年末年始◯連休」「有給平均取得◯日」「子どもの学校行事で休む社員もいる」といった情報まで具体的に示せば、数字だけから受ける不安をかなり和らげることができます。逆に、年間休日125日であっても、シフト制で休日出勤が多かったり、有給が使いづらい職場であれば、求職者の体感としては必ずしも「休みが多い会社」とは受け取られません。

年間休日120日は、いまや「かなり休みが多い会社」というより、休日を重視する求職者にとって「安心して候補に残せる基準」になりつつあります。自社の休日数がその基準に届いていない場合こそ、「休日の中身」を丁寧に伝える採用広報が効果を発揮します。

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